第13号 子どもと学校の周辺で (その3) 「安全」

初めて大阪の児童殺傷事件のニュースを見た時のショックは今も忘れられません。

 とても受け入れ難いことでした。

 事件から一年半、十一月末に発表された報告書「学校施設の防犯対策について」を文部科学省のホームページから読んでみました。

 A4版十六ページにわたる文書には「大切である」「有効である」という文言が散りばめられています。

 しかし、その中の大半について、私は校区小学校に当てはめることができませんでした。

 「できたらいいな・・・」ドラえもんの主題歌のフレーズが頭の中で回ってしまいました。

 門に施錠、フェンス、侵入監視センサー・・・親しんできた学校施設が、危険と言われるようになってしまいました。

 私達の住む社会は、学校がこんなにも自衛しなければならないところになってしまったのでしょうか。

 しかしまた、充分な対策がされた学校は、私には入りにくい場所に思えました。

 そう思うのは地方ゆえののどかさなのかもしれませんが。

 事件後、校内巡視に重点が置かれたためか、教務室を訪ねても人影の無いことがありました。

 校内立ち入りの際の申し出・ワッペン着用などの措置が取られましたが、今もきちんと守られているでしょうか。

 報告書の数々の対策は、学校のあわただしい日常や施設等の現状からは何かかけ離れて感じられ、重荷にさえ思えてしまうのです。

 ◇

 あのような事件は小学校でなくても起こるかもしれません。

 むしろ危険は学校外の方が多く、たとえば不審者の徘徊・誘拐未遂については毎年のように学校から注意喚起のお知らせを受けます。

 中高生にもなれば、同じ生徒からさえ身を守る必要を感じます。

 でも、嘆いたり願ったりしているだけでは現実は動きません。

 せめて、子どもや学校について、他者に責任を問う前に自らが行動する親でありたいと思います—

 自信はないけれど。